2020年08月06日

明治を学ぶ12

前回の記事で南の沖縄は日本領土として確定しました。
残るは北です。明治を学ぶ4の日露和親条約で一度確定しているように思えますが樺太が混在しているので、ロシアが先に開発を本格化してきたことにより樺太で日露両国の紛争が頻発していた。ロシア南下政策は不凍港(一年中凍らない港)獲得として当時最大の目標だった。
明治7(1874)年10月屯田兵制度開始。

北海道を外国に奪われないようにするのと同時に開拓(農業)する目的、そして未だくすぶる働き口を失っていた士族を派遣することにより不満のはけ口に全国から兵を派遣設けた。

明治8年5月7日、駐露全権公使・榎本武揚が交渉し樺太・千島交換条約を調印。

あれ?榎本武揚って新政府軍に反旗を翻し新選組が壊滅した函館戦争(五稜郭の戦い)で反政府軍を指揮してたよね?敗戦後投獄されてたはず。調べてみると函館戦争で新政府軍を参謀として指揮していた黒田清隆は榎本の才能を評価していたそうで、福沢諭吉らと共に助命活動を行ったそう。明治5年特赦により出獄、放免となり黒田が開拓次官を務めていた開拓使になっていて、その後みるみるうちに昇進していた。ほんと能力優れていたんだね。

そして条約の内容。
樺太をロシア領にそして千島列島を日本領へ交換するというそのままの内容。なのですがこことても難しいところ。
明治を学ぶ12

当時日本に広大な樺太を統治する財政的軍事的余裕はなかった。そこでイギリスが「千島列島なら周囲が海なので防衛しやすい」と助言をしたことによりこの案で条約締結を目指した。実のところイギリスの腹積もりは地図を見てもわかるようにロシアの太平洋進出を懸念し千島列島で日本を盾にして封じ込めを目論んでのことだった。

そして現在にも繋がる大事な大事な北方四島のとこ覚えておいて。
私はこのことは何度でも言うよ。千島樺太交換条約とは言うが交換とは持っている物をお互い引き換えにするから交換と言うもので、すでに持っている北方四島はもちろんこの交換条約に含まれていません。何が言いたいんだよって言われる方がいるかもしれません。だからもっとはっきり言うよ。
この条約の千島列島とは北方四島を含んでいないものを千島列島と呼んでいます。お分かりいただけますでしょうか。
日本語で千島列島と聞くと島が連なっているところ全部を思ってしまいますが、ここは違うのです。ここの解釈を日本人でも間違ってしまうのでこの認識をしっかり統一したいのです。ちなみにこれはもちろん私が個人で言っているのではなく日本政府一貫した公式見解です。これがなぜ重要なのかは後の条約に関係してくるのでまたその時に。


明治8年征韓論で西郷と板垣を、台湾出兵で木戸を失い国内政局は不安定なままだった。
1月~2月大久保は板垣木戸を呼び戻そうと伊藤博文や井上馨を仲介役に大阪の料亭「加賀伊」で説得を重ねる。これを大阪会議と言います。西郷は呼ばなかった。

明治8年2月22日、板垣退助旧愛国公党の同志に再結集を呼びかけ愛国社設立。
初の全国的な政党だったが板垣が参議に戻ることに波紋が広がり一時愛国社自然消滅。

大阪会議で大久保は憲法に基づいた政治体制に向かうことを約束。木戸・板垣は政界復帰に合意。
明治8年4月14日、漸次立憲政体樹立の詔(ぜんじりっけんせいたいのみことのり)を発布。
五箇条の御誓文の趣旨を拡充して憲法に基づいた政治体制に徐々に向かうという約束を天皇に宣言して貰った。

これにより立法機関である元老院、現在の最高裁判所にあたる大審院が設けられ、東京に府県長官を集め行う地方官会議の実施が決まった。
事前に大阪会議で木戸が書いたメモが残っている。
明治を学ぶ12
上から天皇陛下、内閣太政大臣参議、右から元老院、大審院、行政、下がって地方官。
このときに三権分立を考えていたんだね。何もない時代だよすごいわほんと。

政府批判の新聞報道が活発化していた。
明治8年6月28日、讒謗律(ざんぼうりつ)新聞紙条例を発布。
言論や文書を取り締まった。当時の言論人は賊軍出身者が多かった為だと言われている。
薩長土肥が軍事で政権を獲ったように負けた幕府軍会津藩・弘前藩などは言論で政府と対抗しようとしてたんですね。

前回書いていたジャーナリズムの基礎と言われている福沢諭吉の「明六雑誌」も廃刊に追い込まれた。


国の発展のため官制(営)工場や官制(営)会社をたくさん作っていたが後に政府はこれを民間へ譲ります。
この払い下げには薩長出身者への払い下げが多いとか格安だったとか問題点があったが産業を拡大するにはある程度仕方がないところもあった。
経営者は政府要人とのパイプを強くしていきこの辺りを基礎にして後に財閥となる「三井」「三菱」「住友」「安田」が大きくなっていく。

明治8年9月朝鮮と国交を結ぼうとしていた問題はまだ続いていた中、大問題が起きる。というところから次回にします。











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Posted by hirok○ at 22:39│Comments(0)明治~
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