2020年08月04日

明治を学ぶ11

征韓論で大久保たちに負け下野した板垣たちは「言論」で政府に対抗しようとします。

明治7年1月「愛国公党」を結成。
中心メンバーは前参議だった板垣退助、後藤象二郎、副島種臣、江藤新平ら。

明治7(1874)年1月17日『民選議員設立建白書』を当時の立法機関の左院へ提出。
明治を学ぶ11
内容「私共が謹んで現在政権がどこにあるかを考えてみますのに、上は天皇にもなく、下は人民にもなくただ官僚に独占されています。」という現況の書き出し。
以後簡単にまとめると、支配者が独断で思いのままに事を決する専制政治を批判し、民主的な議会(国会)の開設を望むものだった。
自由民権運動の始まりだった。

政府はこの民選議員設立建白書を却下した。
しかし新聞にその内容が掲載され知識人をはじめ広く知られるようになり、国会開設の機運が高まってくる。

板垣らが「言論」で政府に対抗したのに対し、「武力」によって対抗するものが現れる。
明治7年1月14日元土佐藩士族が東京赤坂で岩倉具視を襲撃、負傷。政府に反対する者への当たりは厳しく、犯人は三日後に全員捕まり処刑された。これは襲撃された場所が赤坂の喰違い坂で起こったので喰違の変と呼ばれている。

明治7年2月さらに武力による抵抗は強まり、旧肥前藩士族約3000人が佐賀城を占拠。これを佐賀の乱という。
そのリーダーは江藤新平だったが本人は武力で対抗したいとは思ってなかったそう、不平士族がリーダーを必要とした為担いだのだった。
2月1日、旧肥前藩士族が佐賀城占拠準備。
2月10日、大久保自ら約5000の鎮圧軍を東京から佐賀へ。
2月16日、旧肥前藩士族佐賀城攻撃。18日占拠。
2月19日、政府軍佐賀城攻撃。数で圧倒政府軍優勢。
2月23日、江藤新平佐賀脱出。
2月28日、佐賀の乱終結。

3月上旬、江藤新平は鹿児島の西郷隆盛を訪ね決起を促すが西郷は動かず。

3月末、江藤新平は板垣たちの地元旧土佐へ行くが政府軍に逮捕される。
4月13日、江藤新平処刑後さらし首に。(大久保のかなりの怒りが伺える。)

言論による反政府運動もさらに加速。
明治7年3月、森有礼、西周(にしあまね)、福沢諭吉らが啓蒙雑誌「明六雑誌」を発行。
政治制度、男女同権、死刑廃止論など政治・経済・外交・言語・宗教・教育などの欧米思想の紹介・普及目的。
これがジャーナリズムの基礎となる。


明治7年4月、板垣退助は愛国公党解散後、旧土佐藩士族を集め「立志社」を結成。
天賦人権(人間は生まれながらに自由かつ平等で、降伏を追及する権利を持つ)を掲げ、国会開設・憲法制定・言論の自由などを求めた。自由民権運動の中心になっていった。

明治7年5月、大久保台湾出兵を決める。
発端は明治4年、宮古島島民遭難事件という台湾に漂流した琉球人54人が台湾先住民に殺された事件による報復。
朝鮮出兵には反対していた大久保が台湾に出兵させたのには理由が二つ。
・不平士族の不満をそらす事。いわゆるガス抜き。(木戸は征韓論と同じだと出兵に反対、辞表提出。)
・琉球は琉球王国として江戸時代薩摩藩と清国両方に属していたのを日本の領土だと外国に確定させたかった。

日本政府は、宮古島島民遭難事件に対し台湾を統治していた清に厳重に抗議したが、原住民は国家統治の及ばない者であるという清朝からの返事があり、これにより台湾出兵を正当化し行った。征韓論時の朝鮮の場合その先に清との開戦が見えていたが台湾には清との開戦は予想されなかったのも大きい。

5月22日、西郷隆盛の弟、西郷従道(つぐみち)が約3000の兵で台湾上陸。
6月5日、琉球人を殺害したパイワン族を制圧。

明治7年9月14日、大久保自ら清と戦後交渉で北京へ。台湾(地方)で戦い相手の中心(北京)へ乗り込む。この辺りは幕末日本が欧米にやられた強国のやり方をマネて見せたのだろう。数々の失敗を経てしたたかになったと思う。
清国は即時撤兵を要求。日本は交渉が妥結しない場合開戦も辞せずと伝えた。(開戦する気があったかどうかはわからない。)

10月27日、清は日本の出兵を認め、賠償金50万両(現在価値150億円)を獲得

結果、琉球の日本帰属が国際的に承認され確定
すげぇ。かっくいいってなるなこれ。大きな賭けをして勝ったって事、大久保まじすごくない?これ一人で考えたらしいよ。

というところで今回はここまで。今の日本が形になっていくのがわかる。改めて歴史って大事だなって思う、ほんとに。


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Posted by hirok○ at 22:17│Comments(0)明治~
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